2015年11月20日金曜日

思考を止めない

学習における思考方法

世間では「〜思考」と呼ばれる商品ネームが溢れかえっていますが、根本的な思考方法は次の3つに限られます。
  1. 批判的思考(クリティカル・シンキング (Critical Thinking))
  2. 垂直思考(バーティカル・シンキング (Vertical Thinking))
  3. 水平思考 (ラテラル・シンキング (Lateral Thinking))
そして、人間の活動は、思考することだけではありません。
考え、それを実行することが何よりも重要です。

近年、アメリカでは、「クリエイティブ・プロセス」を取り入れたアクティビティーが学校やワークショップなどで取り入れられています。

思考が伴わない行動は、結果が状況や運(偶然性)に左右されやすくなります。


学習においては、この考えること、そしてそれを実際にやってみることの二点を意識的に行うことが必要不可欠です。
筆の使い方を学んでそれに慣れたところで、素晴らしい絵が描けるとは限りませんし、逆に、描きたい絵が鮮明にイメージできたところで、筆の使い方をよく知らなければ、それを完成させることはできません。
道具はどういう役割を持っていて、どのように使えばどういう効果が得られるか。
公式を覚えたところで、実際に問題を解く際に適切に使えなければ、意味がありません。
試験で点数の取れない多くの学生が理解していない問題点は、問題を解く際の思考プロセスにあります。

今回は、「考えること」について見ていきたいと思います。


思考の落とし穴


生徒がよく抱えている学習のアウトプットに関する問題には次のようなものがあります。

以前解いたことがある問題だから解けた → 解いたことが無い問題は解けない
形式が変わったから解けなかった → 表面的な表現が変わっても、本質は同じ
途中で行き詰まったら混乱した → 別の方法を試せない
ケアレスミスが多い → よく考えずに反射的に答えてしまう(確認をしない)
完全に誤解してしまった → 思い込みや先入観に捕らわれてしまっている

これらはメンタル的な問題であり、ある一つの思考に縛られてしまっていることが原因です。

最初に挙げた3つの考え方を意識することで、学習自体の質も、アウトプットに関する質も格段に上がります。
平均点を目指している生徒、8割の壁が超えられない生徒、試験の点数が安定しない生徒など、あらゆる生徒が必要とするものです。


1.批判的思考(クリティカル・シンキング (Critical Thinking))


批判的思考とは、物事をただ受け入れるだけではなく、疑って考えていくことです。
あまり考えずに生活していても、物事は目や耳から入ってきて、受け流しています。
批判的になるとうことは、積極的に物事について向き合い、ただ受け入れるだけではなく、”なぜ” そうなのか、”なぜ” そうではないのか、ということを考えていくということです。
ただ、「そうなんだ」と受け取るよりも、「何でそうなんだろう」と考えていき、その理由を理解したときに、それは印象に残りやすくなります。つまり、忘れなくなるので、思い出せる知識になります。


2.垂直思考(バーティカル・シンキング (Vertical Thinking))


垂直思考とは、普段物事を考えるときの考え方のことをいいます。
普段の考え方では、物事をある方法論に当てはめ、分析的に考えていきます。
必要に応じて、場合分けをしたり、演繹的に推論したり、証明したりすることも、垂直思考です。
垂直思考のポイントは、「判断」です。
人が普通に物事を考えるときは、逐一、判断をしていき、それを繰り返します。
コンピュータ的と言ってもいいかもしれません。
学生にとって最も基本的で、最も重要なのがこの考え方です。
逆に言えば、この判断を適切に繰り返していけば、答えにたどり着けるでしょう。
重要なのは、「思考を止めてはいけない」ということです。
ある方法でできなければ別の方法を試す。
その判断力と情報処理能力が、限られた時間で点数を競い合うためのカギになります。


3.水平思考 (ラテラル・シンキング (Lateral Thinking))


水平思考とは、思考をフラットにし、先入観をなくし、あらゆる方向から物事を考えていくことです。
ブレイン・ストーミングという言葉も耳にしたことがあるかもしれませんが、これは、水平思考のような考え方を実践する方法の総称です。ゲームストーミングとも言います。
ある一つの前提をもとに(垂直思考で)物事を考えていっても、最終的には行き詰まる場合があります。
そうしたときに、その前提を変えることが、考え方を水平にシフトするということです。
まったく別の視点から物事をみたときに、新たな側面がみえてくるかもしれません。

参考サイト:pcatwork.com

例えば数学の問題で、問題文を読んで、「これは関数の問題だ」と判断し、問題に取り組んでいきますが、一向に答えにたどり着けない。この行き詰った状況で多くの生徒がとる行動は、思考が停止するか、がむしゃらにその考えに固執して、その中で考えられるあらゆる方法を試してみる、といったことです。しかし、前提をなくせば、つまり、「関数ではなく、図形的に解けないだろうか」と見方を変えて考えてみることで、すんなり解けてしまうこともあります。


認知バイアスを理解する


社会心理学や認知心理学の分野では、「認知バイアス」といい、人が陥りやすい考え方や行動の傾向が研究されています。

確証バイアス: 自分に都合のいい情報しか見ないで、自分の考え方を正当化しようとすること。
コンコルド効果: 費やした時間に比例して、無駄だとわかっていてもそれをやめられない心理状態になること。

など、学習においても、様々な認知バイアスがあり、それを逆に学習に利用することもできます。

認知バイアスに関するトピックは、近年大学入試の英語長文でも取り上げられ、2015年のセンター試験追試で、第6問に「後知恵バイアス (hindsight bias)」についての文章が出題されました。

認知バイアスは、高校生でも、背景知識として知っておくべきものであり、さらに、どういうところに思い込みや先入観が入ってしまい、問題が解けなくなっているのかを把握するためのヒントになります。


思考を止めない


ここまで3つの重要な「考え方」について見てきましたが、これらを使いこなせることよりも、行き詰まっても思考を止めないことが、何よりも重要ではないでしょうか。思考停止から生まれるものはありません。
ヒントをみつけるのも、思いつくのも、行き詰まるのも、打開するのも、考え続けることで可能になります。

2015年11月2日月曜日

今日(2015/11/02)のGoogle Doodle ジョージ・ブール

今日(2015/11/02)のGoogle Doodle は、イギリスの数学者・哲学者である "ジョージ・ブール(George Boole)” の生誕200週年を記念したものになっています。





高校数学ではあまり聞かない名かもしれませんが、プログラミングなどコンピュータ・サイエンスや論理学でこの名前を聞いたことがない人はいないのではないでしょうか。

Bool値とは


プログラミングの演算処理の一つに、ブール値(Boolean Value)というものがあります。

これは、変数や定数の定義方法の一つで、真(true)、偽(false)の2種類の値しか取らないものです。

コンピュータのベースとなっている2進数でいえば、0か1。
onかoffかのような2つの値で何かを決定する際に、重要になってきます。

論理学は哲学


論理学と呼ばれる分野がありますが、これは、数学と密接な関係をもった分野で、理系・文系の両方の学部で必修科目になっている大学は多くあります。

論理学とは、その名の通り、物事の論理性や関係性を数学的な式や概念を用いて考えていく学問です。三段論法(A=B、B=C → A=C)などは有名です。

アインシュタインと仲が良かった哲学者クルト・ゲーデルも、哲学者でありながら「完全性定理及び不完全性定理」フィールズ賞(数学界のノーベル賞)を受賞しています。

論理学は数学のような抽象的なものを扱う一方で、日常で使われているような言語も扱います。

近年よく目にする「ロジカル・シンキング(論理的思考)」などもこれを学習やビジネスや日常生活で実践しようというものです。

“XOR" とは何か


Google Doodleを動かしてみると分かる通り、色が着いた文字に当てられている論理式の組合せが「x」か「y」か「xとy」か「どちらでもない」の結果を得るプログラムになっています。



Googleのロゴの文字はそれぞれ、

G: x AND y
o: x XOR y
o: x OR y
o: 出力結果
l: NOT y
e: NOT x

の値が割り当てられています。

この中でXORは見慣れないと思います。

これは、Exclusive OR(エクスクルーシブ・オア) の略です。
(OR のほうは、Incrusive OR と呼びます)

2種類のOR


実はORには2種類の意味があり、日常生活でもこれは無意識に状況によって使い分けられています。

① A XOR B:AまたはBのいずれか一方
② A OR B:AまたはB、または、AとBの両方

例えば、飛行機の機内での食事のとき、キャビンアテンダントさんに"Fish or Chiken? (魚にしますか、チキンにしますか?)" ときかれたときに、無意識に、どちらか一つなのだという了解がはたらくため、”Both, please. (両方下さい)” とは決して言わないでしょう。

この時の ”Fish or Chiken?” の OR は、どちらか一方の OR なので、①の XOR という意味になります。

別の例であれば、「二十代の方 or 三鷹在住の方 限定募集!」などの広告があった場合、対象となる人は、二十代であるか、三鷹に住んでいるか、三鷹に住んでいて二十代という両方の条件を満たしている場合も対象に含まれることになります。この場合は、②の OR になります。




普段の生活において論理性は必ずしも必要でない場合も多くありますが、誤解のない円滑なコミュニケーションをとっていくためには、役に立つことではあります。

これからコンピュータやプログラミングを学んでいく学生は、この機会に、Bool値についていろいろ調べて見てほしいとおもいます。